『Rush』のアルバム『Moving Pictures』より - 『Limelight』について

 カナダのロックバンド『Rush』が好きでよく聞いていた時期がある。

『40男のバージンロード』という映画(日本では劇場未公開)で主人公が『Rush』の『Tom Sawyer』という曲を婚約者に聴かせるシーンがあり、私はその場面で初めてこのバンドを知った。

 この映画ではバンドの本人達がLiveシーンで登場しており、単純にかっこいいなと思った。

 さっそく映画でも使用された曲が収録されている『Moving Pictures』というアルバムを借りて聴いた。

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Rush - Moving Pictures

 見知らぬ人を前に、長年待ちわびた友人かのように振舞うことはできない

 このアルバムは40年を超えるバンドの歴史のなかでもファンの間で名盤とされているもで、名曲揃いだ。

 4曲目に収録されている『Limelight』にこんな歌詞がある。

 

"i can't pretend a stranger is a long awaited friend"

"見知らぬ人を前に、長年待ちわびた友人かのように振舞うことはできない"

 

 この曲は『Limelight』という題名にあるように、脚光を浴びて生きていくことの疎外感や辛さについての曲だと解釈できる。ただしこれは芸能やエンターテイメントの世界で生きる人だけでなく、この世界に生きるすべての人に普遍的に当てはまるものになっている。

 特に上記の詩は、ごく普通に生きてきた当時の私にも深く共感できる詩として心に響いた。

 人間誰しもがそれぞれのステージでその空間のコードを上手く読み、なんとか生きている。そのことに対する生き辛さは個人差はあれ、全く感じたことがないという人は少ないだろう。

 自分がこれまで言語化できなかった感情を、詩や本で教わることは多い。この曲の詩もそういうものであり、当時の私(おそらく2010年ごろ)には深く突き刺さった。